潰れて、欠けて、動けなくなった。
油断しすぎと自覚しているが、こうも頻度が高いのはやはり己に問題があるように思う。

見上げれば、あるはずの空は見えなかった。
吹っ飛ばされたボディが落ちたその上から、建物の壁らしきものがかぶさってきたのだ。

ほの暗い狭い空間。
外ではドーン!ドカーン!という爆音が響いているのが分かる。
師が、戦っている。
だから、すぐだ。先生より強い者などどこにもいない。
それにいつしか安心してしまうようになった。自分はこんな無様に負けているくせに、だ。

痛みも感じないのに、ジェノスは苦しげに口元を歪めた。
片方だけ残った腕を使い、クセ―ノ博士の研究所に救難信号を送る。
腹から下はもうない。パーツは高価だ。直す手間以上に博士に対し申し訳がなかった。

かつて単独で戦っていた頃は、ボディが破損して動けなくなった場合、救難信号が届かなければ
このまま野ざらしに朽ちてしまうかもしれないと思った。
一度は死んだようなこの身、怖い事などないはずなのに。
苦痛もなく逝けるのは、あるいは幸福かもしれぬのに。
一人待ち続けるその時間は長く長く、人だった頃の記憶に照合するとそれは 『凍えそうに寒い』
という感覚に似ていた。


復讐に生きている自分には、大事なものを再び得ることは許されない。
過去の自分も含めて、人間は弱くて脆い。簡単に壊れてしまうから。
支援してくれるクセ―ノ博士はともかく、他はダメだ。誰にも関わらないし、頼らない。
そう決めて進んできたジェノスを、メリメリと音をたててこじ開けた人がいた。

「おーいジェノス、生きてるか〜?」
今もそうだ。
普通なら重機でないとどうにもならないような被さったままの壁を、プラスチックの板のように
ひょいと放り投げ放り投げ、彼はいつもの気の抜けたような声で名前を呼んでくれる。
「おっまえ、またハデに壊れたな…パーツはどこ行ったんだよ」

眩しい、などと言ったら、きっと頭の事だと勘違いをするから怒られるんだろう。
だが彼の登場で、雨はやみ、雲は払われ、日は差して、空が見える。
完全無欠のヒーロー。
それを20字以内で言い表すのに、眩しい以外にどんな言葉があるだろう。
他にあるなら、教えてほしい。

「せん…せ…サイタマ…先生…」
「おう、今出してやる」
師がザザ…と音をたてて降りてくる。するとうす暗かったその場所は明るくなり、目には空の青
が映り込んだ。
晴れていた。そんな機能が残っているなら、泣けるほど。

師の頭の丸いフォルム、黄色のコスチュームと手袋やブーツの赤。
ジェノスはまるで最期の瞬間のように、むさぼるようにしてそれらを見た。
サイタマはマントを外し、半分になってしまったジェノスの体をくるんだ。持ち上げられるのが
分かる。視界は服の黄色一色になった。

「先生…汚れ、ます…」
「いやお前、こんな姿を世間に見せるのってどうなんだよ。ヒーローはイメージも大事なんだろ?」
「先生は、ご自分のことには…無頓着…なのに」
「俺には守らなきゃならないほどのイメージなんかねえよ。そもそもハゲだしな」
「せんせいは…せかいいち、かっこいい、です……おれの、ヒーローですから…」
「ジェノス?おいおい、やべえな、なんか変な音してんぞ」

救難信号送ったか?と問われ、師の肩の辺りに額を押し付けるように頷く。
この声を、自分は機械の体のどこで聞き、たった一人の人だと認識しているのか。
空気を震わせるだけのそれを。何故こんなに愛しいと。

(先生、すみません)
思考に時おりノイズが走るのを感じながらも、ジェノスは声に出さず必死に語りかける。

(もういっそ俺のすべてが機械なら、こんな分不相応な思いを持たなかった)
(安心もしなかったし、探してもらえるなんて期待もしなかった)
(弱くてすみません先生)
(俺は…俺は、このまま弱くなるばかりなんでしょうか)

世界でただ一人、頼れると認識している人の腕の中で、どうしてこんな頼りない思いになる。
その時、サイタマの手がジェノスの金色の髪をくしゃりと大雑把に撫でた。
お返しのように、もううまく動かない手で、師の背中をゆるくかき抱く。
今死ねたら、俺は何の心残りもないな、とジェノスはどうしようもない自分に苦く嗤った。
そんな幸福を許すほど、この世界は優しくないと知っていながら。



Good night, honey



「いや、いやです、こわい、こわい先生!!」
「ジェノス、いつも迎えにきてくれる研究所の人だぞ。知ってるだろ?」
「しらない!しらないひとはこわいです。しってるの、先生だけ。先生はこわくない」

弱ったな…とサイタマはため息をついた。
先刻の戦闘でまたパーツを破損した弟子は、腹から下と片腕がない状態だ。あちこちにヒビが
入り、オイルのような何かが流れ出た跡で顔もひどく汚れている。
見慣れない者が目にすれば、まあグロテスクと思うことだろう。

そんな状態でジェノスは、あぐらをかいたサイタマの腹の辺りに必死にしがみついていた。
ひどく脅えているのだ。
救難信号を受けて迎えに来た研究所員二人も、こんな風になったのを初めて見たのだろう。
どう対処していいのか迷う様子だった。

連れ帰る時からおかしな音がしていた。金色の目もパラパラとブレていた。
いつもと様子が違うとは感じていたが、家に着いた頃にはジェノスはまるで子供に戻ったように
たどたどしい喋り方をし、言動も幼くなっていた。

「やだ、やだ…先生、おれ家にいる、おれをどっかやらないで先生」
ジェノスの口から出た 『家』 という言葉にサイタマは意表をつかれた。
こいつがそんな風に言うの初めて聞いたんだけどと思う。普段は 『先生のお住まい』 としか
言わないくせに。
思考が幼くなっているからだろうが、その訴えかけには胸の奥が少しばかり温かくなった。

「あのなジェノス、博士のとこに行くんだぞ?博士のことは覚えてるだろ」
脅えるジェノスを可哀想に思ったが、自分は普段通りがいいだろうとサイタマは淡々とした声音
で言う。
さすがに博士の事を知らないとは言えないらしい。腹に顔を埋めたまましぶしぶ頷いてきた。
「直ったらちゃんとここに帰ってこられるぞ」
だが、サイタマにしては辛抱づよく同じことを言い聞かせても、ジェノスはいやいやするばかり
だった。

それに業を煮やしたのだろう。
迎えの所員のうちメガネをかけた方の男が、「強制スリープモードにしましょう。このままじゃ
キリがない」と言いながら、ボディに突然手をかけようとした。
それに気づいたジェノスは、「やだあぁ…っ!」と叫んでもっと小さく小さく丸まった。
ひいぃぃん…と泣き声がし始める。涙を流す機能はついていないが、頭は生身だ。
感情を持った生き物であるジェノスは、今、間違いなく泣きじゃくっていた。

だが伸びた研究所員の手は、ものすごい力で払われた。
サイタマが加減をしなければ骨など折れていた事だろう。それでも充分すぎる衝撃にうめき声
があがる。

「ジェノスをモノ扱いするな」
いつものほほんとした顔のこの男が放つ低い声。ギロッと睨まれる。
クセ―ノ博士が調べてもまったく原因不明な、超人的な力の持ち主。
既に彼はS級ヒーローであり、ジェノスのランクも抜いている。
だが外見のせいで意識した事もなかった圧を、今、生き物の本能で嗅ぎとり彼らは後ずさった。
「泣いてんだろうが。このまま眠ったら、起きた時も悲しいまんまじゃねーか」


あー胸クソ悪ぃなと思いながら、サイタマはうずくまったジェノスの金髪に目をやる。
人間なんて勝手なもんだ。そんな事知ってた。
こちらが弱ければ、かさにかかって踏みにじろうとするし。
助けられた時は賞賛も感謝もするが、身近にその強さを感じるとドン引きして化物を見るような
目でこっちを見てくる。

知ってた。だけど最近は周囲に人が増えて強い奴も多かったから、自分が特別に浮いている
のをあまり感じずに済んでいた。
(あとまあ、コイツがいるしな)
自分は何を言われても気にもとめないくせに、サイタマが悪く言われたり誤解を受けるとジェノス
はすぐにムキになった。怒ったりムチャな行動に出たり声を荒げたり。

元々この弟子は一本気な性格だったが。
そういう時は、人からも普通からもあまりに遠い場所にいて、なおも遠ざかろうとする自分を心配
しているのだと思いはちゃんと汲み取っていた。
言った事はないが、くすぐったくも嬉しかった。

「じゃあ、俺も一緒に行ってやる。今ちょうどヒマだしな。それならいいだろジェノス。起きた時も
いてやるぞ」
その声にジェノスはのろのろと顔を上げ、じいっとサイタマを見た。
いつもと同じ顔なのに子供のようにあどけなく、その分ウソを許容しない目。
「せんせい、いっしょ…?」
「おう、出かけるか。ちょっと用意するから待ってろ」

うなずき手を離したジェノスを横たわらせると、サイタマは紙袋に着替えや身の周りの物、それに
時間を持て余さぬようゲーム機などを適当につっこむ。
濡らしたタオルで弟子の顔の汚れをざっと拭き、その体をさっきのマントにくるんだ。
自分のコスチュームにも替えのマントをつけながら、研究所員に「ジェノスのパーツはお前らが
持ってけ。雑に扱ったら承知しねーぞ」と告げた。
戦闘後、あちこちに飛散したパーツを、そこにいたヒーローたちが探し集めてくれたのだ。

(直ったら、ジェノスにもそれ言わねーとな)
サイタマには 『一人じゃないですよ』 と色んな場面でアピールしてくるのに、この弟子は自分
だってもう一人じゃない事に気づかない。
だいたいお前は壊れても直せると思ってムチャしすぎなんだよ、と諌めたくもなる。
勇敢なのはいいが、しょっちゅうこんな姿を見せられる自分は地味に凹み続けているのだ。
(それぐらい分かれっつの)


破損したパーツと荷物を研究所員の車に乗せると、サイタマは弟子を抱いて走り出した。
さすがに車より速度は遅いが、道路だけを使わず近道するので到着時間は同じぐらいかも
しれない。
びゅんびゅんと風を切って走る。景色がちぎれ後方に飛ぶ。
ほぼサイボーグであるジェノスが寒さを感じないのは知っていたが、何となく気になって顔を
覗きこんだ。暗がりの中、弟子の金色の目はぽうっと光を放っていた。

「先生、おこった?」
「あいつらにか?まあちょっとムカついた。まさか今までもお前連れに来た時、車のトランクに
突っ込んで運んでたんじゃねーだろうな」

いや、腹を立ててんのは自分にか、とサイタマはこっそり考える。
自力で身を守れない状態のジェノスを他人に預けるのだ。いくら何でも、どういう扱いをされて
いるのか少しは気にするべきだった。
(他人て、俺も他人なんだけどな…)
そんな事を言えなくなっている自分に照れる。やべえ、ジェノス見てんぞとそれなりに顔をひき
締めた。

しかし、ジェノスを迎えの人間にホイホイ渡していたのはまずかったかもしれない。
博士の研究の結晶、最先端の技術でできているボディを欲しがる輩も大勢いるはずだ。
見たことない奴が来たら、博士に確認するぐらいの事はこれからしねーとなと思ったりもした。

「先生は、おこんなくていい」
「ん?」
とっくに道路など逸脱して、サイタマは山の中を走り続けていた。足場が悪くなっている。
落ちてもダメージなどないが、子供返りしたジェノスを怖がらせたくない。
だが弟子は何の心配もないという風情で、サイタマの腕の中に悠々と収まっていた。

「おれのなまえ、よばないのは、おれのことどうでもいいひと」
だから、おれもどうでもいいです、と弟子が言い募る。
ふーん…なるほどな、とサイタマは感心した。
子供の方がものがよく見えるらしい。取捨選択も好きか嫌いでハッキリしている。

ふと、サイタマ君、サイタマ! サイタマ氏と呼びかける色んな奴らの顔が浮かんできた。
そして一人だけ 『先生!』 と呼ぶ快活な声も。
親しみや友情や慕わしさのこもったそれは、久々に人間らしさを思い出させてくれた。
単純で、大事なことかもしれない。

「お前、賢いなジェノス」
ふふ、と得意げに弟子は笑ったようだった。先生にほめられた…と小さな声。
表情がもっとつくように変更せんかと博士に言われても断り続けているらしいが、ありえない程
身近に暮らすうちに気づくようになっていた。
今笑ったなとか、悲しそうだ、落ち込んでる、すっげえ嬉しそう、あー拗ねてんな…なども。

『お前、拗ねてる?』 と初めて聞いた時の、答えに詰まった弟子の顔が今はもう懐かしい。
『そんな感情は俺にはありません』 とやたら言い張るので、んなわけねーだろと言ってやった。
お前は人間なんだから、心が動かねえフリなんかすんな、と。


「先生、ほうこう、だいぶちがってきてる」
「マジかよ。山ん中じゃ目印ないもんな。ジェノス、今ナビは出来んのか。どっちだ」

キィィン…と小さな機械音がして、弟子が目の機能を使いサーチをし始めた。
だが片方だけの腕もマントにくるまれていて方向を示せないのだろう。困ったように先生どうし
よう…と訴える様子が子供っぽくてかわいい。
「じゃあ研究所の方見ててくれ。そっちに走るからな。疲れたらやめていいぞ」

んっと頷き、生真面目な顔つきで遠くを見る。いつもと違うのにいつもと変わらないジェノス。
それに少し笑い、サイタマは「跳ぶぞ」と一言告げる。
そして切り立った崖のてっぺんから、平気でヒョイと身を躍らせた。
ジェットコースターに乗った小学生みたいに楽しげに、弟子が目の前の光景に見入っているのを
チラリと確認しながら。



先に車で到着した所員から、クセ―ノ博士はジェノスの様子がおかしい事を聞かされた。
何が原因かは分からぬが、まるで子供のようになってしまっているという。
だが、肝心の本人の姿はそこになかった。
問えば、迎えにやった所員たちは言いにくそうに 『それが…サイタマさんを怒らせてしまいまし
て』 と白状した。
ジェノスを勝手にスリープモードにしようとした事に端を発して、とても信用できないという顔つき
で彼は 『コイツは俺が運ぶ』 と言ったそうだ。

フム…それはオヌシらが悪いわな、と博士は嘆息した。
「ジェノスを迎えに行くのは、まあ本来の業務とは違うことを頼んでおるんじゃが、彼がどれほど
我々の研究に有用なデータを提供してくれているかは知っとるだろうに」
「申し訳ありません、博士…」
「無機質な物ばかり扱っているからとて、あの子が人間である事は忘れちゃならんよ。それでは
お前さん達の人らしさの方が疑われるぞい」


その時、内線で玄関口にサイタマとジェノスが到着したという知らせが入った。
車で戻った所員らとほんの10分ほどしか変わらない。
呆れた男じゃの相変わらず…と苦笑しながら、博士は電動の車椅子と一緒に迎えに出た。
ジェノスの重量では、手渡されてもとても運べないのだ。

「おおサイタマ君、わざわざすまんかったな。ジェノス、先生に連れてきてもらったんか。良かっ
たのう、楽しかったかい?」
屈み込んで聞いてみると、サイタマのマントにくるまれたジェノスはうんうんと頷き、「先生、とっ
てもはやかった!」と言った。
いつもと同じ青年の顔で、あどけない声と喋り方をする彼につい微笑んでしまう。
おやおや、可愛らしいのう…とその頭を何度も撫でてやった。

下ろすぞジェノス、と言い、サイタマはリクライニングされた車椅子に弟子の体を寝かせた。
気がかりそうに、じいさんコイツ…と言いかけたので、ああ聞いとる、大丈夫じゃよと請け合う。
何か回路に異常をきたしているのだろうが、そう心配するような事ではないはずだ。

「ねえ先生、やくそく…」
「おう覚えてるぞ。お前が起きた時もちゃんといるからよ……つー訳でさ、じいさん、こいつが
直るまで俺ここにいてもいいか?そういう約束したからな」
「勿論構わんよ。ジェノスも安心するし有難い事じゃが、仕事の方はいいのかねサイタマ君」
「いいよ。協会には強えヒーローもたくさんいるし、いつも俺が出張んなくて」

それでは所内の施設を使えるように臨時のパスを発行して、部屋も用意させるとしようかのと
言うと彼は頷き、また弟子の顔に視線を落とした。
黄色と赤のコスチュームが、冷たいリノリウムの床の上で花が咲いたように鮮やかだった。

「ジェノス」
「はい、先生」
「怖くねーよな?寒かったり痛かったりもしねーな?」
「だいじょうぶ。先生いるから、へーき…」
「よしじゃあいい夢見ろよ」

弟子の額の辺りに手袋をはめたままの手が触れる。気持ちよさげに目を細める様子を認めて
から、サイタマは「じいさん、いいぞ」と博士を促した。
スリープモード二ハイリマス、スリープモード二ハイリマス、という機械音声。
眠りの帳がおりてくる。ジェノスの瞼は徐々に重たげになってきた。
おやすみなさいという声に、サイタマも博士も同じ言葉を静かに送ってやる。

「先生…先生だいすき……」

繋いだ装置の反応でジェノスが完全に眠ったのを確認した博士は、サイタマに近寄り、軽く小突く
ようにしながら言った。
「オヌシ、うちの子に大好きと言われとるのに何も返さんつもりかい」
この男にはこの男の考えがあるのはとうに知っていた。
だが人間には私情というものがあるのだ。要するに、えこひいきだ。
孫のように大切に思うジェノスを幸せにする為なら、この地上最強のヒーローを多少つつき回す
事にためらいなど感じはしない。

サイタマはいつの間にか利き手の方の手袋を外していた。
眠るジェノスの整った面差し。
だが彼の体の中でも特に柔らかい頬の部分には、無残に亀裂が入っている。そこに指が触れた。
同時にサイタマは、呆れとも困惑ともつかないハア…という大げさなため息で肩を揺らす。
「言い逃げかよ……俺もだっつの。そもそも聞く気ねーんだろお前は」

ずりいぞ、と言う彼の耳が赤くなっていた。
6つも年の離れた二人だが、案外振り回しているのはジェノスの方かもしれんのと博士は考える。
本人は何も分かってなさそうだったが。

イノセントに対抗するには、大人はずるくなるしかなかった。
だが、自分一人で完結していたこの男の世界はもはや閉じてなどいない。
飛び込んできた。こじ開けた。
人の話を聞かず、常識もなにもお構いなしに、心のまま彼のそばに居座ったこの子供。

(人を好きになるとは、不思議な事じゃな…)
天才と呼ばれた科学者である自分にも、解き明かせない事象は幾らでもある。
恋もそのひとつだった。
しかし年寄りには少々眩しすぎるのう…と苦笑した博士は、サイタマと車椅子を守るように囲むと、
やがて静かに静かにラボへ歩き出した。




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