「10代目……」
       「なに、獄寺くん」
       「10代目……じゅうだいめ…」



       オレはどこにも行きやしないのに、彼は何度もオレを呼んだ

       心底、いとおしいものをさがす、その声


       彼が乞うのが、いつの時代の自分でも
       回された腕のつよさに、偽りはないのだろうと思えた


       その確信は
       切なくて、でもどこかがすごく甘い


       今、こうしている瞬間にも、たぶん
       きみを拘束しているのはオレの方だと思うから


       自分の思いは本当にタチが悪いと、気づき、笑った


       微笑みながら、その掌を撫で、静かな独占にこの身を浸した